アパートの入居者に人気の設備ランキングで1位となっているインターネット無料。家賃は2千円程度高くなりますが、アパートやマンションなどの賃貸住宅に自分でインターネットを引くのに比べると安いので大変好評です。
ランキングはこちら:アパートの入居者に人気の設備ランキング
しかし問題もあります。
アパートやマンションなどの集合住宅では1つのインターネット回線を他の入居者と共有するものもあります。このような回線だと他の入居者の使い方によっては極端に通信が遅くなることも。その他にもWi-Fiルーターやプロバイダが遅いこともあったりと、遅い原因を特定するのもたいへんです。
そこでこの記事ではアパートやマンションなどの賃貸で導入されている無料Wi-Fiの仕組みを説明しつつ、通信が遅くなる原因の見つけ方と対策を解説します。
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アパートに設置されている無料Wi-Fiのしくみ
たいていのアパートの無料Wi-Fiはアパート内はLANでつなぎ、インターネットを提供するプロバイダとは1本の光ファイバー(1Gbpsが主流)で契約しています。そうすることによってアパート全体でインターネット回線を共有し、導入のコストをおさえているのです。
アパート内の各部屋には有線LANのポートが設置されていますが、入居者がすぐに使えるようにWi-Fi(無線LAN)を設置することもあります。
このような構成となっているため、アパートの無料Wi-Fiが遅いといってもいくつかの原因が考えられます。大きくは次の3つです。
- Wi-Fiの電波が弱い
- アパート内インターネット回線の容量が足りない
- プロバイダ回線が遅い
まずは遅い原因を特定しましょう。
アパートの無料Wi-Fiはほんとうに遅いか調べる
アパートの無料Wi-Fiが遅いほんとうの原因を探るため、まずはWi-Fiの電波の強さを調べます。
Wi-Fiの電波はスマホなどに表示されている感度アイコンである程度わかります。
しかしざっくりとした表示なので、よほど電波が弱くなければ分かりません。
そこで便利なのがスマホのアプリです。いちばん分かりやすいのが次のWi-Fiミレル。
Wi-Fiミレル
I-O DATA DEVICE, INC.無料posted withアプリーチ
iPhoneとAndroidそれぞれのアプリが提供されています。自分にあったものをインストールして調べてみましょう。
Wi-Fiの感度が悪くなければインターネットが遅い可能性があります。
実際の回線速度を測定しましょう。調査には次のアプリがおすすめです。
Speedtest.net Speed Test
Ookla無料posted withアプリーチ
こちらもiPhoneとAndroidそれぞれのアプリが提供されているので、自分に合ったものをインストールして実行しましょう。
詳しい手順は次の記事でご紹介しています。
アパートの無料Wi-Fiが遅い場合の対策
Wi-Fiの電波が弱い場合、インターネットが遅い場合それぞれの対策を見ていきましょう。
Wi-Fiの電波が弱い場合
Wi-Fiの電波が弱い場合、対策としては次の4つが考えられます。
- Wi-Fiルーターの置き場所を工夫する
- 5GHzで通信している場合、2.4GHzに変更して通信する
- Wi-Fi中継機を導入する
- Wi-Fiルーターを変更してもらう、もしくは自分でWi-Fiルーターを購入する
Wi-Fiルーターの置き場所を工夫する
Wi-Fiの電波が届きにくい場所は意外と多くあります。ドアや壁で仕切られた場所や1階と2階のあいだなど。LANケーブルを使わず手軽に通信できるWi-Fiルーターですが、置き場所によっては電波が極端に弱くなり、Wi-Fiが遅い原因になっているかもしれません。
Wi-Fiルーターと通信端末とのあいだにはできるだけ障害物がないように、部屋のまん中や天井などに置きましょう。もしWi-Fiルーターの置き場所が移せるのなら、いろんな場所に置いてみて実際に電波の強さを確認してみてください。
→Wi-Fiルーターの置き場所はこちらの記事で解説しています
2.4GHzで通信する
Wi-Fiの電波には2.4GHzと5GHzの二種類があります。
5GHzは2.4GHzに比べて3倍くらいの通信速度ですが、障害物があるとWi-Fiの電波が極端に弱くなり通信が遅くなってしまいます。Wi-Fiルーターと通信端末の間に壁がある2LDK以上の部屋などでは特に注意が必要です。そのような場合には障害物に強い2.4Ghzに変更すると通信速度が速くなることがあります。
変更のやり方は簡単で、Wi-Fiで接続する先のSSIDを変えるだけです。アパートによって異なるかもしれませんが、一般的なWi-Fiルーターの設定だと「Buffalo-G-XXX」「elecom2g-XXX」「aterm-XXX-g」など”G”になっているのが2.4GHzのSSIDです。5GHzのSSID名には”A”が使われていることが多いので区別できます。
→2.4GHzと5GHzの違い、最適な選びかたはこちらの記事で解説しています
Wi-Fi中継機を導入する
部屋や仕切りが多い場合やWi-Fiルーターまでの距離が遠い場合など、2.4GHzでも十分な受信感度を得られずに遅くなっていることもあります。そのような場合に有効なのがWi-Fi中継機です。
Wi-Fi中継機は親機のWi-Fi電波を受信して更に遠くへ電波を飛ばす機能を持っています。そのため部屋や仕切りが多い場合や、Wi-Fiルーターまでの距離が遠い場合に通信速度を向上させる効果があります。
設置は簡単で、親機と中継機の「WPSボタン」 をそれぞれ押すだけで終わってしまいます。SSIDもそのまま引き継ぐので、端末側の設定変更も必要ありません。
Wi-Fiルーターを変更する
ワンルームのアパートでもWi-Fiの受信感度が弱いことがあります。Wi-Fiルーターは電気製品なので、どうしても「あたり/はずれ」が発生しがち。電波が弱い「はずれ」の製品のために通信速度が遅くなっている可能性もあります。
「はずれ」かどうかを判断するには有線LANで通信してみます。有線LANでは速いが、無線LANでは遅いとなると残念ながら「はずれ」にあたっている可能性が高いです。
「はずれ」ではないにしても長年使用しているWi-Fiルーターだと電波が弱くなる傾向があります。おおよそ3~5年で交換するものと考えたほうがよいでしょう。
そのような場合はアパートの管理会社にWi-Fiルーターを取り替えてもらうか、自分でWi-Fiルーターを購入してそちらの電波を使うことで通信速度が改善します。
おすすめのWi-Fiルーター
Wi-FiルーターのおすすめはBUFFALOの製品です。人気商品であり、実売価格は5,000円〜10,000円程度で購入できます。
NECのWi-Fiルーターも昔から性能がいいと評判です。
Wi-Fiルーターの交換も検討してみましょう。
夜だけ遅い場合
昼間は問題なくインターネットを使えているのだけど、夜だけ速度が遅くなる場合があります。昼間は仕事や学校に行っている人が多くそこまでインターネットは使われていないのですが、夜になると家に戻りインターネットを使う人も増えてしまうからです。
使っているサービスの処理能力が足りていない
最近は動画などの大容量コンテンツを楽しむ人も増え、その傾向がますます顕著になっています。
総務省:我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計・試算より
あなたが使っているサービスはどうでしょう?
YouTubeなどは大規模なサーバーで処理されているのでめったに遅くなることはありませんが、マイナーなサービスだと処理能力が足りずに遅くなってしまうことがあります。
そのサービスの公式サイトに書かれている障害情報や、口コミなどの評判を確認してみてはいかがでしょうか。
アパート内のインターネット回線が混雑している
サービスが原因ではない場合、アパートで使っているインターネット回線が混雑して遅くなっていることが考えられます。
昼間はアパートにいる人が少なく問題なくインターネットを使えていたのが、夜になるとアパートに人が戻ってきてインターネットを使う人も増えてしまう。そのためインターネット回線の通信容量が足りなくなり、結果的に昼間に比べると通信速度が遅くなってしまうのです。
その場合は次の対策が必要です。
- アパートの居住者に過大な通信をしないよう注意してもらう
- アパートが契約しているプロバイダに通信状態を確認してもらう
アパートの居住者に過大な通信をしないよう注意してもらう
アパートの無料Wi-Fiで導入しているインターネットは、一つの光回線をアパート全体で共有するタイプがほとんどです。そのためアパートの入居者が一斉にインターネットを使いだす夜の時間帯になると急激に遅くなります。また、アパート内の特定の入居者がインターネット回線を占有して回線速度が遅くなることもあります。
代表的なのはアルテリア・ネットワークスが提供しているU-COM光レジデンスのようなタイプです。
対策としてはアパート内の特定の入居者が回線をひとり占めしないように帯域制限をかける必要がありますが、一般的なサービスではそこまでの機能がありません。
結局のところ大きなファイルを継続的にダウンロードしないよう、アパートの管理会社から入居者へ呼びかけてもらうことくらいしかできないのです。
アパートが契約しているプロバイダに通信状態を確認してもらう
過剰な通信を自粛してもらっても状況が改善しない場合、アパートが契約しているインターネット回線のプロバイダが遅い可能性もあります。
アパートで導入するインターネット回線は大家さんが導入しますが、できるだけコストを下げて導入したいと考えています。その要望を受けた回線業者は、安いプロバイダ(バックボーンの弱いプロバイダ)を使うことがあります。そのような業者のインターネット回線は昼間は普通に速度が出ているのですが、夜になると極端に遅くなる傾向があります。
対策はアパートが契約しているプロバイダを変更してもらうか、プロバイダ側の帯域を増強してもらうかしかありません。当然、自分で契約している回線ではないので、アパートの管理会社経由で大家さんへお願いすることになります。
どの時間帯でも遅い場合
どの時間帯でもまんべんなく遅い場合、そもそもアパート全体の入居者の利用量を満たせていない可能性があります。現在の光回線は1Gbpsが主流ですが、5年くらい前は100Mbpsが最速でした。もしくは光回線ではなくADSLかもしれません。そのような設備だと10世帯でも遅くなってしまうでしょう。
アパートの世帯数が多いことが問題なのかもしれません。以前アパート回線の業者に確認したことがあったのですが、概ね20世帯で1本の光回線で設計しているということでした。しかしそれはあくまでも目安であって、大家さんの意向によっては40世帯でも1本の光ファイバーしか設置しないこともあるようでした。
あなたのアパートがどの程度の回線なのかは大家さんしか知らないので、とにかく管理会社へインターネットが遅いとクレームを入れるしか方法はありません。それで回線を増強してくれればいいのですが、無料Wi-Fiの速度はそもそも保証されてないので、大家さんには増設する義務もありません。
一見インターネット使用料無料のアパートはお得に感じます。
しかし回線速度が遅ければそもそも使えないので意味がありません。
そうならないためにもアパート選びの段階で十分に精査する必要があります。
アパートの無料Wi-Fiの速度改善ができない場合の対策
残された手段は自分でインターネット回線を導入することです。方法としては次の3つが考えられます。
- 光ファイバーを自分で契約する
- ケーブルテレビのインターネットを自分で契約する
- モバイルルーターを契約する
光ファイバーを自分で契約する
光ファイバーを自分の部屋へ引ければ1Gbpsの帯域を全て使えるので遅くなることはありません。しかし賃貸アパートで光ファイバーを導入するには、次のような制約が発生します。
- 回線工事のためにアパートの部屋に穴を開けることもあるので大家の許可が必要
- 現在使用しているアパートの無料Wi-Fiの接続を変更しなければならない
- 退去時には元に戻さなければならない(原状回復義務)
大家さんと交渉して許可が取れれば光ファイバーを契約することができますが、許可が取れなければあきらめるしかありません。
また費用面も考慮しておく必要があります。考えられる費用としては、
- 光ファイバー開通時の工事費用
- アパート引越し時の撤去費用(原状回復費用)
- 引越し先のアパートで使えない場合は解約金が必要
光ファイバーを開通させるには工事費用がかかります。アパートを引っ越す時には撤去しなければいけません。その際には撤去費用が必要です。引越し先のアパートで同じ通信会社の光ファイバーを使えればいいのですが、もし使えない場合は解約金も必要になります。
これらの費用がかかることをあらかじめ考慮しておきましょう。
ケーブルテレビのインターネットを自分で契約する
現在のアパートの部屋がケーブルテレビだった場合、部屋での回線工事は不要かもしれません。ケーブルテレビ会社はインターネット回線も提供しているところが多いのですが、それはテレビと同じ回線をそのまま使えるからなのです。
デメリットは回線速度がそんなには速くないということです。とはいえ300Mbps程度は確保できるので一人で動画を観るのであれば十分です。しかし何人かが同時に観るのは難しいでしょう。家族がそれぞれ使うにはもの足りない通信速度です。
ケーブルテレビで代表的なのはJ:COMやイッツコムです。使えるケーブルテレビ会社によって速度は異なりますが、1Mbps〜300Mbpsまで幅広く用意されています。しかし料金的には光ファイバーと同程度なのであまりお得感がありません。
固定回線を使いたいが光ファイバーは使えない。そのような場合の選択肢として考えておいたほうがいいでしょう。
モバイルルーター(モバイルWi-Fi)を自分で契約する
モバイルルーターとはモバイル回線を使ったWi-Fiルーターのことです。モバイル回線なので部屋での回線工事は必要ありませんし、回線速度も440Mbpsから最大1.2Gbpsと光ファイバーにせまる速度を達成しています。
モバイルルーターを契約する 上でのデメリットとしては、
- サービス提供エリアに入っていない場合は利用できない
- サービス提供エリアでも場所によっては電波が弱い場合がある
- パケット量の使用制限がある
があげられます。しかしサービス提供エリア内であれば十分な通信速度なので、動画を観るのにも問題ありません。ただしパケット量の使用制限があるので、使いすぎには注意する必要があります。
家でも外でもインターネット
まとめ
動画をずっと見たり、オンラインゲームをやるのであれば使うデータ量もそれなりになるので、パケット無制限の光ファイバーやケーブルテレビのインターネット回線が必要でしょう。しかし大家さんの許可が必要になるので、ダメだったらあきらめて引っ越すしかありません。
しかしそこまでデータ量を使わない場合はモバイルルーターがおすすめです。WiMAXであればデータ量の使用制限も比較的ゆるいので、よほどヘビーな使い方をしなければ通信制限にかかることもありません。
アパートでインターネットを導入するならどのような回線がいいのか?
アパートにおすすめのインターネット回線の選び方はこちらでご紹介しています。