WiMAXの通信制限は比較的緩やかですが、それでも通信制限は存在します。
発売当初(2009年)は全く制限がありませんでしたが、現在は加入者が多くなってきたこともあり、ある程度の制限はやむを得ないところもあります。
本記事ではWiMAXの通信制限の種類を見ていき、その制限を回避するための方法についても解説します。
WiMAXで契約可能なプランと通信制限
WiMAXでは契約可能なプランとして「ギガ放題」と「通常プラン」の二種類があります。
それぞれの違いは使用できるデータ量の上限です。
通常プラン(UQ Flatツープラス)
月額データ使用量が7GBまでとなるプランです。
データ使用量が7GBを超過しても通信は可能ですが、通信速度が128kbpsに制限されてしまいます。
ギガ放題プラン(UQ Flatツープラス ギガ放題)
UQコミュニケーションズのサイトには「月間データ量上限なし」と記載がありますが、これは誤解を生む表記です。
実際には「3日間で10GBを超過すると、翌日の18時から2時までの通信が概ね1Mbpsに制限される」という制限があります。
しかし翌日にはデータ使用量が再計算され、10GB以下であれば通信制限は解除されます。
比較的緩やかな制限となっています。
ハイスピードプラスエリアモード
通常のWiMAXの電波に加え、au 4G LTEの電波も利用できるオプションです。
通常プラン、ギガ放題プランのどちらでも利用可能ですが、利用には月額1,005円の追加料金が必要となります。
ただし3年契約や4年契約では利用料が無料となる場合もあります。
ハイスピードプラスエリアモードでは、データ使用量が7GB/月という制限があります。
データ使用量が7GBを超過した場合、通信速度が128kbpsに制限されてしまいます。
注意しなければならないこととして、一度この制限が発動されてしまうと、通常モード(ハイスピードモード)に変更したとしても制限は解除されません。
月末までハイスピードモードの通信速度も128kbpsに制限されてしまいます。
WiMAXの通信制限(まとめ)
これまで見てきたように、WiMAXの通信制限は通常プランとギガ放題プランでは大きく違います。
また契約プランがギガ放題プランであってもハイスピードプラスエリアモードの状態でデータ量を超過した場合はそちらの制限が優先されます。
契約プラン/通信モード | データ使用量 | 超過後の通信制限 | 解除契機 |
---|---|---|---|
通常プラン | 7GB/月 | 通信速度が最大128kbpsに低下 | 翌月 |
ギガ放題プラン | 10GB/3日 | 18時〜2時の通信速度が最大1Mbpsに低下 | 毎日過去3日の通信量で再計算される |
ハイスピードプラスエリアモード | 7GB/月 | 通信速度が最大128kbpsに低下 | 翌月 |
10GBを超過するまでの利用時間(YouTube)
YouTubeを視聴した場合のデータ使用量を見て見ましょう。
ギガ放題プランの10GBの場合、超高画質の場合は7時間で超過していまします。
しかしスマホで視聴する場合は標準画質(SD)程度であるため、47時間視聴することができます。
通常プランでは7GBであるため、超高画質の場合は5時間で超過してしまいます。
標準画質(SD)の場合は33時間視聴可能ですが、1ヶ月で考えると一日2時間程度も使用することはできないでしょう。
モバイル回線にはなぜ通信制限が存在するのか?
WiMAXに限らず、モバイル回線には何かしかの通信制限があります。
固定回線でも通信制限される場合もありますが、よほど悪質な場合に限られます。
なぜモバイル回線だけこのように厳しい制限なのでしょうか?
モバイル回線の制約
モバイル回線は無線を使用して通信をおこなっています。
無線はモバイル回線に限らず、テレビやラジオなどの放送でも使用されていますし、緊急通報などのシステムでも使用されています。
それぞれの用途に応じて利用する周波数が決められており、モバイル回線はある一部の周波数帯を使用しています。
その中でもさらにキャリア毎に周波数が分けられています。
ドコモ、au、ソフトバンクの大手キャリアに加え、今はワイモバイルとなったウィルコムが保持していた周波数、そしてWiMAXで使用する周波数が存在します。
今後はさらに楽天が携帯電話事業へ参入するため、さらに割り当てが厳しくなります。
その限られた周波数を各社で利用しているというのが現状です。
WiMAXサービス開始当初の通信制限
WiMAXは2009年当初、キャッチコピーとして「速度制限ナシのWiMAX!」としてサービスを開始しました。
現在と違い、月間や3日間のデータ使用量の制限がなく、全く規制されずに使い続けることが可能でした。
通信速度も下り最大40Mbps、上り最大10Mbpsと、当時主流だったADSLと比較しても高速な通信速度を提供していました。
そのようなこともあり、ADSLなどの固定回線を代替できる手段として注目を集めました。
不評だったWiMAX2+の通信制限
2013年10月、WiMAXが新たな通信規格としてWiMAX2+を追加し、通信速度も40Mbpsから110Mbpsへスピードアップしました。
しかしこれまでWiMAXでは通信制限がなかったところを、WiMAX2+では2015年4月から3日間で1GBまでという通信制限を導入するという発表がおこなわれました。
今後全てのサービスがWiMAXからWiMAX2+へ移行することは確実であり、これは実質的なサービスの改悪ではないかと騒然としました。
結局のところUQからプレスリリースがあり、3日間で3GB、制限速度もYouTubeが問題なく視聴できる5Mbps程度となることで落ち着きました。
2017年2月2日からの新ルール適用
しかし膨張するデータ通信量にWiMAXのインフラ整備が追いつかず、2017年2月2日より、以下の通信制限をおこなうことが発表されました。
速度制限がかかるご利用データ量:直近3日間で10GB以上(「WiMAX 2+」と「au 4G LTE」のデータ量の合計)
制限時間:3日間で10GBを超えた日の翌日のネットワーク混雑時間帯※1
(18時頃~翌2時頃※2)
制限後の最大通信速度:概ね1Mbps※3(YouTube動画の標準画質レベルが視聴可能な速度)
これを更なる改悪と捉えるか、緩和と捉えるかは使う人の状況によると思います。
今後の見通しは?
当初WiMAXはKDDI(au)がLTEを補完するためのサービスとして始めたものです。
現在4G LTEは十分高速化されていますが、通信容量が逼迫している状況にはかわりありません。
今後5Gが普及してくると更なる高速化が進みますが、周波数が少ない状況は当分継続しますので、なんらかの通信制限は必要となってくるでしょう。